PlCがスパコン向けプロセッサ参入

どーも、新年度もよろしくお願いします、スーです。
いや、浪人なのでそんなに書くつもりはないのですが、あんまりに驚いたもので。
電子工作界隈では有名なマイク口チップ社がPlCシリーズでスーパーコンピュータ向けプロセッサに参入だそうで。
その名も"PlC HPCore"。
プレスリリースを読んだ感じだと一般PC向けはx86の独占状態を覆すのは大変だがHPC(HighPerformanceComputing)分野ならまだ割り込める、と判断したみたいです。
いや確かにスパコンx86完全独占じゃないけれども、今までのPlCのイメージからしてびっくりです。
まあ、PlCとはいえ、電子工作で使われるタイプとは全然内部構成が違うようで、名前だけが一緒という感じですな。
データシートの暫定版も発表されたので面白いなと思った点をいくつか。

驚異の20コア1チップ

時間が余り無いので暫定版データシートからの抜粋です。

この図を見るとわかりますが、PC(Processing Core)というのが20個並んでいます。
これ一つ一つが計算機能を持ったCPUになっているようです。
この図では4行5列でPCが並んでいますが、行ごとにデータ通信などのバスを持っているようです。
また、動作周波数は2.88GHzとのこと。
圧倒的に動作周波数が高いかといえばそうではありませんが、そこそこの速度で後は数でカバー、という方針のようです。
メモリコントローラは理論値で60Gbpsの転送速度まで対応するとのことです。

PCの中身に行ってみよう

さて、PCの中身ですが、これまたデータシートからの抜粋です。

まず目につくのは一番上の「Extended Floating Point Register A/B」でしょう。
128bitの浮動小数レジスタが合計で128本。
別にレジスタウインドウとして使うわけでもないのにこれだけのレジスタがあるというのは、
ある意味力技と言えるでしょう。
そしてこのレジスタA/Bからは同時に各32個のデータをロードできるとのこと。
当然32個同時に演算を実行できます。
スカラー機が強い今日この頃ですが、ベクトル機というのがなんとも。
lnteiのXeom 3GHzを20コア搭載したマシンに比べてLINPACKで1.5倍位の性能を出せるようです。
ですから行列に強いってことでいいのではないでしょうか。

ウエシマ方式?

さて、私が一番面白いと思ったのはPC単体の高性能さではなくて、各コアへの計算処理の割り当て方です。
最初の図にあるInstruction Controllerは1行に5個あるPCのうち、1つにだけ接続されているようです。
では他のところへ計算処理を割り当てるときにはどうしているのかというと、
2つ目の図のJob Execution Controllerと、そこに繋がっているJob Status Busを利用するようです。
Instruction Controllerが接続されているPCが最初に処理割り当て要求を受け付けて、Job Status Busに
処理内容と割当要求を受けたPCの番号を送信します。
Instruction Controllerが接続されているPCはその行で最も番号が小さいPCであり、次に番号が小さいPCがこの送信を検出し、
自分が処理できるようであれば処理内容と自分のPC番号を送信します。
自分が処理できないのであれば受け取ったデータをそのまま送信します。
そして、一定時間経過した後、一番最後に処理内容とPC番号を送信したPCに対して、
残りのPCが実行の承認をする、というシステムのようです。
簡単にいえば、ダチョウ倶楽部の上島さんの、
「俺やるよ」「私がやりますよ」・・・・「じゃあ俺やるよ」「どうぞどうぞ」
というような感じで、処理を割り当てていくようです。
なので個人的には「ウエシマ方式」とでも呼びたいと思います。

開発環境とか

プレスリリースを読んだところ、卜ランジスタ技術の8月号増刊として一番安いチップを搭載した評価ボード付き解説本が出るようです。
また、コンパイラGCCはまだ対応していませんが商用のCコンパイラFORTRANコンパイラが準備されているようです。
解説本にはコードサイズ限定版あたりが付いてくるんでしょうか。
何にせよ楽しみであります。

当然だけど

4月1日、エイプリルフールネタですよ?
PlCなんてマイコン、私は聞いたことない*1ですな(笑)
シーケンサの一般名称とか、通信方式としてなら聞いたことありますけど。

追記

今年は社会情勢に鑑みてエイプリルフール企画を自粛する向きも多いようですが、
私はこんな時こそ変わらずにやれるものくらい、変わらずにやってみよう、という方針であります。
3月11日、12日の大地震で被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。

*1:ついでに言えば「ぼくらんじすたぎじゅつ」なんて雑誌も私は知りません 笑