忘れもしないあの名前


というSF小説をちまちまと書いていこうと思います。

出来れば4,5回で完結させたいと思ってます。



忘れもしないあの名前

第一話:異常な信号



忘れもしないあの名前。

そう、あれは20年前の事だった。



私、春瀬道隆は太陽系連合宇宙軍外宇宙隊、通称「331隊」の

副司令官だった。

そのころ私は25歳だったが、この時代の連合宇宙軍の方針で副司令官に登用された。

副司令といえども、全体で50人ほどしかいない組織だ。

当然業務をこなさなければならない。

20年前はちょうど「全宇宙観測年」だったので、

私たち331隊は太陽系の外れ、宇宙暦7036年に発見された

惑星カーシオンの近くにいた。

まだカーシオンは開発されておらず、いわゆる「未開の地」だった。

だからこそここに派遣されていた。






私がボース粒子反射式探査機からの信号を解析していると

カーシオンの巨大クレーター付近から異常な信号が出ていることに気付いた。

まず異常なウィークボソンの発生が確認された。

ウィークボソンの密度的に考えて、人工的にベータ崩壊を起こさない限り、

このウィークボソンの密度は考えられないのだ。

だがここは未開の地、カーシオンだ。

人工物、ましてやベータ崩壊を人工的に起こす要因など考えられないのだ。



これを司令官である秋水中尉に伝えると、

秋水中尉は

「ほう、確かにこれは異常だな」

老眼鏡を掛けデータを眺めながら中尉は言った。

副司令が若いため、司令官は歴戦の勇者や天才的パイロットなどが登用されている。

この秋水中尉もその一人で、

若い頃「反物質による次元転移元素である26族元素の工業的生産法」や、

「非安定グルーオン適応性理論」などの量子力学・次元工学での

様々な論文と研究により、多数の賞をもらっている人である。

そんな人だが、現場主義を貫く人なので、自由に研究させてもらえる軍にいるわけである。



「君はどう思うかね」

秋水中尉が老眼鏡を外しながら聞いてきた。

「私としてはこれは外部の惑星に制御されているのではないかと思うのですが・・・」

「そうか・・・」

秋水中尉は腕を組んで考え込んでいるようだった。

「これは実際に行ってみる必要がありそうだな」

私は驚いた。

未開の地、それもまともに上空から調査がされていない場所にどうやって降りろと言うのだ。

「そんなの無茶ですよ。十分に調査もしていないじゃないですか」

「春瀬君、時に無茶は実行してしまえば無茶ではなくなる時がある。気にするな」







とりあえずここまでです。

続きが早く読みたいという殊勝な方はコメントを。。。。