自作ASICの時代来たる

FPGAとASIC

私は高校時代の卒業研究でCPUを設計したわけですが、そのときの実装に使用したのはFPGA(Field Programmable Gate Array)というICで、
簡単に言えば、既に内部に論理回路の集合体が形成されていてそれの配線を組み替えるという仕組みで所望の論理回路を実現するという素子でした。
個人でも思った通りの論理回路を作ることのできる、とても便利なICです。
しかし、所望の論理回路は確かに作れるのですが、内部をフルカスタムするわけではないので、速度などの面で専用IC、いわゆるASIC(Application Specific IC)に
なかなか勝てませんでした。今まではASICは個人で作れるような物ではなく、FPGAでなんとかする、という状況でした。

でもって本題

しかし、今回東京のTT研から発表された"BurnIC"(「ばーにっく」と発音するとか)はFPGAと違うアプローチで所望の論理回路を形成することで、
ASICとほぼ同等の性能を実現したそうです。

BurnICの基本原理

材料化学系の人はご存じだと思いますが、Si-Ge-Sn系合金とそこに添加する不純物を工夫することで摂氏250度程度で融解する化合物半導体が作成できる事は
Esepril 大などの研究チームの1980年代の研究をはじめとして様々な実験で検証されています。

今回のBurnICはその研究を応用した素子だそうで、まず初めに専用の開発ソフトにより論理回路を設計した後、
その設計したトランジスタなどの配置をLEDアレイを使ってBurnICの感光層に転写し、
その後オーブントースタ等でBurnICを摂氏250~260度に加熱することで不要な半導体層を取り去るという仕組みだそうです。
この「焼く」工程から"BurnIC"の名前が付いたようです。

発売元のTT研では「個人でもASICを作ることが可能になったということは、世界全体が新しい時代に突入したという事だと考えている」
とコメントしているようですが、まさにその通りだと思います。

あとは秋月でいくらで販売されるかですね。全部嘘だけど。(4/1はエイプリルフールです)