ツアー1日目:SeeedとPCB工場とNXROBO

ニーハオ!8/15は旅行4日目,ツアー初日,でした.

バスに集合

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ツアー1日目と2日目に関してはバス移動ということなので,8時半に会展中心のシェラトンホテルに集合しました.地下鉄から出てくるときに
出方が悪かったためシェラトンのロビーを見つけるまでに若干まごつきましたが,なんとか時間には間に合いました.
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ちょっとしたマイクロバスで移動かと思いきや,至って普通の観光バスでした.よく考えたら30人以上いるので,観光バスが必要ですよね…
最初に向かったSeeed Studioまでの道中でツアー参加者の自己紹介をしました.改めていろいろな人が参加していると実感.

Seeed Studio見学

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大体1時間程度でSeeed Studioに到着しました.
ここではAgile Manufacturing Centerという小ロット製品を迅速に組み上げ,柔軟にラインを組み替える生産設備を見学させてもらいました.
ちなみにここで何故かFAB12に参加していたというスペインのFabLab組と合流.アジャイルです.
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こんな感じで全員帽子,スモッグ,靴袋装備で見学でした.
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生産ラインでは工員さんが淡々と素早くハンダ付けをしていました.
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製造中の基板に関してはカンバン方式で管理されていました.
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ちなみにヒートガンはATTENでした.ATTENのオシロスコープを持っているので若干親近感が湧きました.
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本格的なチップマウンタもありました.


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検査治具もそれぞれの製品に対応したものが置いてありました.赤いレバーを押し下げることで検査対象にピンを押し付け,電流等を計測できるようになっているようでした.
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よく見ると検査治具の中にはArduinoらしきものが入っていました.若干の手作り感がありますが,検査治具は基本的に一品モノなので,レーザーカット等で作っているという外装と合わせて,
治具の製造も迅速に行なっているということなのだと思います.
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引っ越したばかりで動いていないとのことでしたが,ShopBotも置いてありました.
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その後,QC室や事務室などを見学し,最後にShuyangさんがプレゼンをしてくれました.
プレゼンの内容はプロトタイピングから売るまでは大変で,そこまでのいろいろなステージのメイカーをサポートするのがSeeedである,というような話でした.
深センをワンボタンで使うソリューションはなくて,ハードウェアは相変わらずハードだ!」みたいな内容の締めのスライドが印象的でした.

ハラル麺を食べる

その後,Seeedの社員や生産ラインの工員さんが行くレストランを紹介してもらい,そこへみんなで行きました.
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ちょっと見にくいですが,看板の奥にハラルのロゴが見えます.ちなみに蘭州というのは新疆ウイグル自治区の隣の甘粛省の都市で,比較的イスラム教徒の多い都市だそうです.
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私は20元の香鍋麻辣牛肉麺をオーダー*1しました.
確かに辛かったですが,具沢山で麺がパスタ風でとても美味しかったです*2
店員さんはイスラム教徒らしい帽子を被っており,中国の広さというか多民族国家の雰囲気を垣間見ることができました.*3

PCB工場へ

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お昼ごはんのあとはSeeedと付き合いのあるというPCB(プリント基板:Print Circuit Board)工場へ向かいました.Seeedの時点で十分都心部からは離れていましたが,さらに郊外へとバスは走って行きました.
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この工場の敷地内にバスを入れようとしたのですが,バスの先端が工場入口のスロープに擦ってしまい,結局バスは構内に入れず,
門の手前で下車するというアクシデントがありました.工場に入る前からコンテンツには事欠かないのはさすがです.
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廊下を歩いていると,工場にありがちな若干ケミカルな香りがしました.
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エッチングやパタン転写など,基板製造の工程を逆順に追うように見学しました.
エッチング硫酸銅のような青色の液体で行っていました*4
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現像工程もそうですが,上の写真のシルクスクリーン印刷が手作業で行われていたのが驚きというか,SeeedやElecrowといった,
深センの企業の小規模PCB製作サービスで出来上がってくるPCBのシルクスクリーン印刷*5がたまに派手にずれていて,
機械でやっているのにどうしてこんなにずれるのだろうかと不思議に思っていたので,なるほど手作業だったのかと納得してしまいました.


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エッチングなどの基板本体の製造工程以外に出来上がった基板のチェック工程も見ましたが,
上から端子の付いた治具を押し付けて,パタンが正しく接続されているかチェックする機械*6が動いていました.
面白かったのは結構な頻度で"FAIL"判定が出ていたことで,"FAIL"が出るたびちょっとツアー参加者が盛り上がるという不思議な空間でした.
見たところ,1割弱はFAILなんじゃないかというペースでした.これだけFAILが出るとなると,10枚のオーダの基板も
かなり多めに作っておかないと不良品が出て1ロットで10枚揃わないということが起きそうだと思いました.
こういうところに,Elecrow等で10枚でPCBをオーダーすると多めに届く原因の一つがありそうです.
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しかしさらに驚いたことに,不良品のうち,パタン間がショートしているものについては,同じ部屋の端でデザインナイフを片手に持った工員さんがパタンカットをしたり,
テストリードを基板に当てて大電流でパタンを焼ききるといった作業をしていました.
いったいこの「再生品」基板はどこへ行くのでしょう.「深センで700円のアクションカムを買った話」では,そのような基板が
「公板」として激安ガジェットの基板として流れていくのでは,と書きましたが,「深センで買った700円アクションカムをバラしてみる」で見た感じだと,
どうもそのような基板ではなさそうでした.さらに,高須さんに教えてもらったリンク
見ると,「再生品」基板でなくとも,そのようなリファレンス的なボードを製造している企業があるとのことなので,ますます謎は深まるばかりという感じです.
また行くチャンスが有ればこの点について,工場の方に質問したいと思います.


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ダメ押しで最後の方に強烈なインパクトを残していったのは基板を切り分けるプレス加工機で,
本来は手を巻き込まないように両手で左右のボタンを押さないとプレスされないようになっているのですが,
この工場のプレス加工機は足踏みスイッチ1つで動くように改造されていました.
安さの裏にはこういう部分もあるのだなあと思わされました.

NXROBOへ

PCB工場の後はNXROBOという会社のオフィスへ.南京大学の産学連携センタ的な所にありました.
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内部は普通のオフィスビルのような雰囲気でしたが,ガラス張りの比較的小規模な区画に分かれているあたりは産学連携拠点らしい感じでした.
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下の写真がNXROBOが開発しているBig-iです.英語と中国語の音声認識ができるロボットで,x86クアッドコアプロセッサを搭載しているそうです.目はLCDで実装されていました.
NECPaPeRoのように,カメラを目のように配置したロボットというのはだいぶ前からありますが,
LCDが安く,高解像度になったこともあり,LCDを目の(ように見える)パーツに使うものも増えてきているように思います*7
白目と黒目の比率を変えたり,黒目の移動でいろいろな表現ができることもあり,LCDによる目パーツの実装は個人的には結構好きです.
また,個人的には足回りのギアの設計が良く出来ているのか,ギヤボックスから聞こえる音はモータの磁励音が主でギアの振動による音が殆ど無かったのが印象的でした.*8
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実はNXROBOを紹介してくれたのは,また別のScratchのようなロボットのビジュアルプログラミング環境を開発している会社の方で,そちらの紹介も受けました.
まだ社員が2名ほどだそうなのですが,NXROBOと仲がいいのでこちらに案内しつつ,自社の紹介も,ということでした.
ベンチャーが集積しているからこそできるワザといえます.
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スコールに降られつつ四川

NXROBOの見学を終えてから,NXROBOをアテンドしてくれた方の案内で四川料理のお店へ.*9
大体1駅分歩いたのですが,道中スコールに降られたり道に迷ったりと,ちょっと大変でしたが深センの広さを実感しつつ,到着できました.
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深大駅のそばだったと思いますが,こういうようなおしゃれなビルの中のお店でした.このビルはSkyworth Semiconductor Design Center Buildingというビルだそうです.
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今日もなにはともあれ青島ビールです.
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四川料理なのでやはり辛い麻婆豆腐も.
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その後冷えた青島ビールが売り切れということなので雪花ビールに交代.
青島ビールに限らず,やっぱり中国のビールはびっくりするくらい軽いですね.全然酔わないです.
その後,また1号線に乗り,会展中心で降りて渡邊先生の宿であるシェラトンホテルにおじゃまして,その豪華さにビビりながらカップ麺と傘を頂き,宿まで再度地下鉄に乗って*10戻り,就寝しました.


やっとツアーが始まったところまでたどり着きました.2日目はいきなり個人的なアクシデントが発生したりといろいろありました.お楽しみに!

*1:SeeedのShuyangさんに「辛いけど大丈夫?」と念押しされるもそんなことは百も承知でのオーダーだった

*2:しかし料理が届くまでに何回かオーダーを再確認したのはちょっとくたびれましたね…

*3:ウイグル自治区の問題はありますが…

*4:家庭でエッチングを行う場合は廃液処理などの観点から塩化第二鉄水溶液かクエン酸水溶液を使うことが多いです

*5:インクを透過する部分としない部分があるスクリーンを転写対象の上に置いて,その上にインクを載せて刷り込む印刷方法.要するにプリントゴッコ

*6:この他にフライングプローブという自由に動かせる端子を使ってチェックする方法もありますが,そのための機械はパッと見たところなさそうでした

*7:帰国後に高須さんから頂いたファービーもどきもLCDが目になっていました.

*8:社長曰くまだまだ改善するつもりとのこと

*9:火鍋のお店と聞いていましたが普通の四川料理店でした

*10:LINK CITYを歩いて帰ろうかと思ったのですが閉まっていました